2014年8月1日金曜日

全裸女児盗撮ツイートの『何』が問題なのか ~無意識に無邪気に行なわれる『セクシズム(性差別)』~

さて今回は、Twitter発で一部界隈にまで問題が派生した――特に女性からは蛇蝎の如く嫌悪された――表題の問題について取り上げる。

そもそも取り上げた理由としては、この発言者であり問題を引き起こした本人が、余りにも浅くしか問題を捉えておらず、一体『何』が問題であるのかを理解していない事に驚愕したからだ。

更に言えば、この発言者が過去にどれだけ軽率な意識で、無自覚に無意識に『性差別』を振りまいてきたかを確認したのも理由となる。
正直に言うならば、落胆が隠せない。

彼の酷い問題――飾る事なく正直に言うならば『罪』――は幾つかある。
決して一つだけではない。
非常に複合的であり、尚且つ相互に入り組んで複雑化した複数の問題が絡んでいる。


事件を追っていない人の為に

先ずは記事を引用しよう。

“全裸女児盗撮ツイート”で非難殺到 プラネタリウムクリエイター大平貴之氏の問題発言に物議

(消えてしまった際に備えての魚拓)

http://wotopi.jp/archives/7743


この問題の人間は『大平貴之』氏という。
尚、TwitterIDは@ohiratec_mega
Twilog(ツイログ、Twitterの発言履歴を記録している外部サービス)はコチラになる。

当該の問題発言も引用しておく。






正直言うと殴りつけたいのだが、それは止めておく。
その代わりに『言葉で』殴りつけよう。



第一の問題

『自分の社会的地位による影響力の大きさに無自覚』であるという事。

さて、彼が一体どういう人なのかはTwilogを読んでいただければそれこそ『百聞は一見にしかず』だと思うのだが……
実例として、幾つか発言を引用しよう。
……いや、幾ら何でも、『ネタ』にしても、あらゆる意味で酷くはないだろうか?


読んだ人の中には『こんなのTwitterの平常運転じゃん』とかいう感想を持った人もいるだろう。
そう、確かに『Twitterの平常運転』である。
これに負けないくらいの、これより更に酷い変態的な発言をしている者も実際多い。

然し、だ。
大平氏の場合は、これらの発言が為されたのが『本人認証アカウント』(名前の横にチェックマークが付いているアカウントは、Twitter社が『このアカウントは成り済ましではなく本人に間違いない』と認証した事になっている)である事が大問題なのだ。

つまり――
エンジニアであり、プラネタリウムクリエイターであり、有限会社大平技研の代表取締役であり、東京大学特任講師であり、和歌山大学客員教授であり、相模女子大学客員教授であるという『社会的地位を表明している本人』が、この様な発言をしているという事が大問題なのだ。

極端な話、そんな性的嗜好の表明(と言うほど高尚でもない、単なる下衆な居酒屋でのオッサン談義)は、別アカウントで本人と全く無関係にやるなり、匿名掲示板でやるなり、クローズドなグループチャットでやれとしか言えない。
SNSという半ば以上に公的な場所で、而も『大学の客員教授』という公的な影響力を持つ者が、この様な下卑た仲間内での下ネタを垂れ流すのは、お世辞にも褒められた行為ではない。

それこそ『自分の社会的身分や肩書と全く無縁な私人として』勝手にやらかして、同好の士と笑い合ってる分には構わない。匿名の私人だったり、正体が解っていて特定可能であっても大学教授のような『教育関係』や政治家や公務員などの『公的関係』でない限りは、自由に――それこそ『下卑たオッチャンの居酒屋談義』をしても問題はない……とまでは譲ろう。(不快に思う人も多いかも知れないが、それはそれでまた別問題)

大平氏の場合、彼がアカウントとして使っている『実名』そのものが『社会的身分や肩書』と密接不可分なのだから、要は『そのアカウントでそんな話すんなボケ』という事に落ち着く。

つまりは、大平氏は『公私の使い分けの出来ない幼稚な人格』と結論付けるしかないという事だ。


第二の問題

『半ば以上に公的な場所で為された発言を、仲間内の”ノリ”で済ませようとした共感性の無さ』だ。

前述の記事中にも【ツイート内容をネタだと反論、フォロワーの不安も煽る】との見出し部分で書かれてはいるのだが、改めて引用する。


これを見たら、どんなに鈍い人でも問題が解ると思われる。
一連の発言の後、わざわざ親切にも『自分に注意してきた人間』や『この発言を問題視した人間』に対して
『ネタなんだから真面目に取るのは馬鹿。通報でも何でも気が済むまですれば良い。自分は何もやってないんだから通報とかするだけ無駄だけどね。ご苦労さん』
とでも言うような嘲笑う態度を取っているのだ。
開き直りと取ってもいいだろう。

これが前述の匿名の私人などなら話は十分に理解出来る。と言うか、そういう仲間内の楽しい(?)会話に横入りしてルールやモラルを押し付けてくる人間がいたとすれば、正直に言えばそれは単なる『小さな親切大きなお世話』でしか無いのだし、窮屈な面が目立ち邪険にされて然るべきものだ。

だが、である。
前述の『第一の問題』でも示した通り、大平氏は『実名の本人証明済みアカウント』であり、そのアカウントでの発言は『大平貴之氏個人の人間性』と直結する。これらの児童ポルノでさえ問題となる発言や、醜い開き直りをする様な人間が『プラネタリウムクリエイターとして子供に夢を与える仕事に就いている』『大学の客員教授として教鞭を執っている』という『印象=イメージ』が形成されてしまうのだ。

第一がそこまで考えが及ばなかったにせよ、だ。
単なるネタならば『不謹慎だ』と注意された際に『申し訳なかった』と謝罪すればいいものを、飽く迄も『仲間内での”ノリ”』を重視して『ネタをネタと読み取れない奴の方がオカシイ』と(本人はそこまで深く考えてはいないだろうが)自身の正当性に拘った。
その証拠が以下の発言である。
自身のファン(悪く言えば取り巻き)から励まされた返答がコレなのだ。ここでも大平氏は
『ネタをネタと読み取れない奴がオカシイ』として『そういう読み取れない奴に絡まれて炎上するのはよくある事だから心配するな』と返答してる訳である。

……大平氏が自分で種をばら撒いて自分で炎上した今回の件について、苦言を呈したり注意を促すなら兎も角、『ネタに文句つけてきた方が悪い』として『負けないで下さい』とか言ってしまうファンもファンだけど。私に言わせりゃ、こういうのは『ファン』じゃなくて『信者』と言う。

それ以後に『謝罪』に至った訳ではあるが……
その謝罪も『誰かから謝罪する様に言われ、本人は納得しないままに形式上言葉を並べただけ』としか思えないフシがあるのだ。その証拠としては謝罪後、その同日にこんな非公式RTをしている。
『普段見てない人=自分のネタを解してくれない人』にRTされたのが原因だ、とさえ受け取れる発言をしている。そして、この発言に賛同するファン(=信者)も多いのだ。

問題の焦点はそこではない。問題は『公の場に晒されている実名アカウントである自分の発言』に対して、限りなく無責任である事にある。単なる私人の匿名アカウントがこんな発言をしても、ここまでは叩かれなかったかも知れない。(ま、最近の流行として『通報祭り』に発展していた可能性もあるが)

個人的に言うならば、大平氏は『叩かれたから反省した』だけであって『問題点が何で、自身の何処を改めねばならないのか』という視点が完全に欠落しているように思う。


第三の問題

『児童ポルノ問題に著しく無頓着で、想像力が欠如している』事。
正直言って、余りにも鈍感過ぎる。

昨今、『改正児童ポルノ禁止法』が成立したのを覚えてらっしゃる方も多いと思われる。特に一部界隈では、マンガ・アニメ等の表現規制に繋がるのではないかという危惧から注目度が高かったので忘れられない方も多いだろう。(表現規制問題は現在進行形なので『忘れてる暇なんか無いよ!』という反論も来そうだが)
加えて、小学中~高学年児童を対象とした誘拐や殺人事件が、特に増加はしないものの決して途切れる事なく起こり続けているという事実もある。(先日も女児では岡山県倉敷市の監禁事件があったし、男児では兵庫県尼崎市での監禁事件があった)
更に、LINE等のアプリや動画配信サービスを利用した各種性犯罪についての報道も絶えることはない。

これらから、児童ポルノにも絡む年齢の児童・生徒に対しての性的な話題はかなりセンシティブになっているのが実情だ。


大平氏の件の発言の中にこんなものがあった。


正直、例えネタであっても幾ら何でもコレは無い。
小学校高学年から中学生の女児の裸を見た事を『羨ましいと思う人間』がいるという事――これはもう何の言い訳のしようもなく『その年代の女児の裸を性的対象として見ている』からこそ、見ていない者に対して『女児の裸を見た自分』を自慢出来るという事になる。而も、その女児の裸を見た事を『神様がくれたご褒美』とまで言ってしまっている。

本人はその後に
と弁解しているが、こうまでなってしまった後では一体『誰』がそれを信じるというのだろう。
本人の性的な嗜好(ロリコン/ペドフィリア等)など、何かしら事件を起こさない限りは『本人の自己申告』しか知る手段がない。そして、こんな問題を起こしてしまったからには、これ以降どんなに否定しようが第三者から
『大平氏は実はロリコン/ペドフィリアなのではないか?上手く隠してはいるが、あの発言は本音だったのではないか?』
と勘ぐられてしまうのもまた仕方ないと言える。自らが招いた舌禍事件なのだから、自業自得として偏見にも耐えてもらおう。


更に言うならば、その年頃の子女を持つ親の心情としてはどうなのか考えた事すら無いと見える。
一応は
と言っている――つまり『この発言が児童ポルノ問題に絡む』事を了解しているはずなのに、だ。

羞恥心やら何やらの問題から『小学校高学年から中学生の女児が全裸で水浴び』は考え難いとしても、まだそういった感情が希薄な年齢の女児がシャツや下着姿で水浴びする事は十二分に想定される。
さて、その『ただ暑いから水浴びして気持ち良くはしゃいでるだけの我が子』を、そういう『性的な視線で見ている人間』が周囲にいるかも知れないとしたら?極端に言えば、愛しい我が子が誰とも知らぬ性的欲望の塊から『視姦』されているのだ。そんな状況下で、果たして親の心境は如何なるものか。
親からすれば、そんな『愛しい我が子を視姦しているような人間』は『気持ち悪い』以外の何物でもないだろう。羞恥心などがまだ希薄な子供に代わって、親自身が嫌悪と恐怖の叫び声を上げるかも知れない。警察に通報するかも知れない。その人間を公に犯罪者扱いするかも知れない。過激な親ならば殴り掛かるかも知れない。

まして、これが親が近くにいなかった場合はどうなるだろう。親の自分の目に付かぬところで、愛しい我が子が欲望に汚されているのだ。そのまま連れ去られ誘拐されるかも知れない。性犯罪のターゲットとなり巻き込まれるかも知れない。その恐怖は一体如何程のものか。

大平氏は『自分の発言が他人に引き起こす恐怖』を余りにも自覚しなさ過ぎる。


第四の問題

『普段から女性を性的消費物としか見ていない』事。
本人には全くそのつもりはないという事は断言してもいいと思う。然し、幾ら本人にそのつもりがなくても『そう受け取られて然るべき発言をしていた』のもまた事実だ。

『性売買(平たく言えば売買春)』の問題は根強い。
私個人としては、性サービス産業に従事するセックスワーカーの女性に対しては、差別もしない代わりに尊敬もしない。ただただ『大変だなぁ。男性の土方より肉体的にも精神的にもキツイ職業なんじゃないのかな』と感心するばかりだ。個人としての認識は『大変な職業』というだけであり、他の職業と何ら変わりはない同列の扱いだ。
然し、これが『職業』ではなく『援助交際という名の売春』ならば話は別だ。而も、それに従事しているのが『学生・生徒』ならば尚更だ。(その昔『プチエンジェル事件』というものがあり、それの従事者は『児童』だったのだが……今はそういうものは無いらしい。尤も、表に出てきてはいないだけで、裏にはチャンとあるんだろうなぁ)

援助交際について『性を買う男性が悪い。需要側が悪い』『性を売る女性が悪い。供給側が悪い』等の意見は様々だろう。だから、その是非についてはここでは問題にしない。
飽く迄も、ここで問題にしたいのは、そういう『学生を性の対象と見る』人間に対して一定の嫌悪感を持つ人間は必ず居り、その人間にとっては『自らの性』が『単なる商品として消費されている事』が、心をズタズタに切り裂かれているのと同じ事だという話だ。

前に引用した【JKの制服の匂いがたまらん】【女子高生ハァハァ】もそうである。
『Twitterに溢れてる変態発言じゃないか。そんなに目くじら立てるもんじゃない』
という意見もあるだろう。いや、むしろそっちの意見の方が圧倒的な多数派かも知れない。でも、その発言を読んで『傷付いている人』『不快に思っている人』は確実に存在するのだ。それを忘れずに、常に心の片隅にでも自覚しておいて欲しいのだ。

私は何も、その手の下ネタ発言を一切許容しないなどと言うつもりはない。そんな発言をしようとも、それは個人の自由だろうし、そんな発言を楽しむのもまた個人の自由だろう。その個人の自由を阻害する権利は誰にもない。誰にもないが、そこには『自覚と責任』は絶えず付き纏う。自覚があれば、他人と衝突した時に『開き直る』という最悪の手法だけは避けられる。自重するにしろ、その衝突を不当だと思うにしろ、相手との対話を念頭に置ける。

キツイ事を言うようだが自覚して欲しい。
これこそが『性差別(セクシズム)』なのだ。これこそが『性的嫌がらせ(セクシャルハラスメント)』なのだ。これこそが『性的虐待(セクシャルアビューズ)』なのだ。
相手の人間としての『個』ではなく、女子高生という『商品タグ』を見る。極論すれば『お前には女子高生というブランドしか価値が無い』と言ってるも同じなのだ。中身は何でもいい、女子高生という商品タグがついていれば構わない。そう言ってるのと何ら変わりはないのだ。
本人が自覚しているか否かに関わらず。

前述の様に一切の下ネタを嫌悪してる訳ではない。許容しないとか言うつもりもない。
ただ『無邪気』(=悪意の無い)で『無自覚』(=敢えて考えた訳ではなく、極自然なもの)な『差別』ほど根は深い。本人に『差別しているという感覚が全く無い』のだから。そして、そういう『日常的に何気なくふっと出てしまう』ものほど、他人から指摘されても『目くじらを立てる事じゃないだろう』として『考えずに(=思考停止して)』流してしまおうとするものだ。

セクシズム問題は根が深い。
そして大平氏のやった事は、そこに土足で踏み込んで荒らしまくったのと同じなのだ。


結論

では、最後にもう一度振り返ろう。
問題点は四つ。

  • 『自分の社会的地位による影響力の大きさに無自覚』
  • 『半ば以上に公的な場所で為された発言を、仲間内の”ノリ”で済ませようとした共感性の無さ』
  • 『児童ポルノ問題に著しく無頓着で、想像力が欠如している』
  • 『普段から女性を性的消費物としか見ていない』

この四点に関しては、何も大平氏特有の問題ではない。
特に二~四は社会でもよく見かけるはずだ。そう、何かと言うと『スキンシップをする事が親愛の証になる』と本気で思い込み、ナチュラルにセクハラをしてくる中高年男性共である。

人間であるからには下品な話題も当然あるだろう。下卑た話題も当然あるだろう。
その全てを否定してはいない。
ただ単に昔から言われてきた事を繰り返してるだけなのだ。

『TPOを弁えろ』と。

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