2008年12月15日月曜日

新たに拡大された、チェンマイ・イニシアティブに基づく日韓間の円建てスワップについて そにょ1~Swapの仕組み

某巨大掲示板では勘違いと言うか、無知と言うか、誤解と言うか、工作と言うか、偏見と言うか……

兎に角、間違った認識が広がっていたりします。一々間違いを正すのも疲れますので(笑)、ここは一つ素人なりに調べまくった範囲で解説をしておこうかと思います。ちょうどリクエストもあったことですし。

ああ…… 国籍法と2本立てかぁ orz

 

 

☆通貨スワップって何? 韓国に対する融資じゃないの? 支援とかでしょ?

ハッキリ言って違います。Swapは『交換』という意味ですので、融資ではありません。

これは『一時的な通貨の両替』です。海外へ渡航する際に、手持ちの日本円を現地通貨に両替して、帰国の際には、手持ちの現地通貨を日本円に再両替しますよね? あれを思い出して下さい。これを国家単位で行うのが『通貨スワップ(Currency Swap)』です。ただし、国家の場合は何処かに旅行する訳じゃありません。自分の国に留まったまま(そりゃそうだw)ですが、自国以外の通貨(外貨)が必要だから『両替』するんです。

では、それは一体何故でしょう?

『外貨』というのが必要な状況を考えてみましょう。自国資本だけで、且つ自国内だけで経済が完結している場合には『外貨』なんて必要ありません。が、現実にそんな国が存在することは有り得ないんです。需要も供給も、資源産出も食糧収穫も全て自国だけで賄えるのならいいのですが、そんな国はSFの中にしか有り得ません。だからこそ、様々な貿易や国内の外資系企業との決済に『外貨』が必要になってくるのです。

その『必要な外貨』は、結局は国の政府が国内市場に流す総量を決める権利を持っています。(企業も結局、国が流した外貨を入手して支払いに充てています) 国民が好き勝手に外貨を市場に流したら、経済の秩序が崩壊するからです。その為、国家は予め『必要な外貨』を貯蓄しています。これを『外貨準備高』と言います。この『外貨準備高』が十分にある内は、わざわざ両替なんて必要ありません。貯蓄を取り崩すだけでいいんですから。では……? そう、この『外貨準備高』が不足して、市中に外貨が出回らなくなったから『両替して外貨を入手する』必要があるんです。この『両替』を行なうために、国家間で結ぶ協定が『通貨スワップ』です。

しかし、最初に海外旅行の例で出したように、一度外貨に両替した通貨は、再度両替して自国通貨にしなければならないのです。この再両替は『スワップ』自体の契約条項の一環であり、この期限は『両替をした時から○○日後』と決められています。つまり、本来の『交換』という言葉にすると

自国通貨 ―(契約・交換)→ 外貨 ―(償還日・再交換)→ 自国通貨

になります。この一連の流れを『通貨スワップ』と呼ぶのです。

今回の日韓スワップは円建てですから、円⇔ウォンの交換になりますね。そして、この際の交換のレートですが、最初の契約時の額面を決定したレートが再交換の際にも適用されます。

 

例)

韓国側が10億ドル相当の『日本円スワップ』を申し込んできた契約時の為替レートが 1ドル=100円=1500ウォン であって、償還時のレートが 1ドル=100円=2000ウォン だった場合

契約時

日本→韓国 10億ドル相当1000億円を『交換』

韓国→日本 10億ドル相当1兆5000億ウォンを『交換』

※ここで 10億ドル=1000億円=1兆5000億ウォン というレートが確定します。

償還時

日本→韓国 契約時レートに従い、10億ドル相当1兆5000億ウォンを『交換』する為、750億円を使用して集める(差益 250億円)

韓国→日本 契約時レートに従い、10億ドル相当1000億円を『交換』する為、2兆ウォンを使用して集める(差損▲5000億ウォン 自腹)

つまりはですね…… 償還時の為替レートがどうであろうとも『契約した金額返せや(#゚Д゚)ゴルァ!!』となる訳ですな、これが。レートが確定していても、スワップした外貨を使ってしまえばそこで『差益・差損』が発生してしまいます。(逆に言えば、双方塩漬けさせているだけなら、差益も差損も全くのゼロになります。ま、有り得ませんが)

更に言うならば、この償還時に双方に金利が付きます。この場合はどの金利を適用するんでしょうかね? 米韓のFRBスワップの際は、『米国が韓国に払う金利:CRS(通貨スワップ金利)』『韓国が米国に払う金利:LIBOR(ロンドン市場銀行間金利)』だった訳ですが。

 

以上、これがスワップの仕組みです。融資でも無償/有償援助でもない事が解ったかと思います。

 

 

☆チェンマイ・イニシアティブって何?

略称をCMIと言います。これは韓国経済wktkスレまとめサイト Wiki~チェンマイ・イニシアチブを一読して下されば解るかとw 取り敢えずは、本家本元の財務省から引用しましょうか。

 

チェンマイ・イニシアティブについて

(Chiang Mai Initiative: CMI)

1.
概要

①短期流動性問題への対処、②既存の国際的枠組みの補完、を目的とする、東アジアにおける自助・支援メカニズム。

2.
構造

○ CMIは、①二国間通貨スワップ取極(BSA)(注)のネットワーク、②ASEANスワップ協定(ASEAN Swap Arrangement: ASA)、により構成されます。

(注)Bilateral Swap Arrangement (BSA)。通貨交換(スワップ)の形式によって、短期的な資金の融通を行う取極。

○ BSAのネットワークとは、「(スワップの発動方法や条件を規定する)基本原則」に基づく通貨スワップ取極をASEAN+3各国が二国間ベースで多数締結するもので、締結相手の選択は各国の判断に任されています。スワップの発動条件は、基本的にIMF融資とリンクしています(但し、締結されたスワップ総額の20%まではIMF融資とのリンク無しに発動可能)

○ ASEAN10カ国のマルチ協定であるASEANスワップ協定は、2005年11月に10億ドルから20億ドルに拡大されました。

3.
経緯

○ 1997~98年のアジア通貨危機後、このような事態の再発を防止するため、東アジアにおける金融協力の必要性についてこれまで議論が行われました。

1999年11月
第3回ASEAN+3首脳会議(フィリピン・マニラ)
「東アジアにおける自助・支援メカニズムの強化」の必要性に言及。

2000年5月
第2回ASEAN+3蔵相会議(タイ・チェンマイ)
二国間通貨スワップ取極のネットワークの構築等を内容とする「チェンマイ・イニシアティブ(Chiang Mai Initiative: CMI)」を合意。

○ その後、CMIの下で、2003年末までに、日本、中国、韓国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイの8カ国の間でBSAのネットワークが構築され、当初想定していたネットワークは完成しました。

○ ネットワークの完成を受け、2004年5月の第7回ASEAN+3財務大臣会議(韓国・済州島)において、CMIの有効性を強化するための見直しに向けた検討を開始することで合意がなされ、作業部会において検討が進められました。

検討の結果、2005年5月の第8回ASEAN+3財務大臣会議(トルコ・イスタンブール)では、CMIをより効果的かつより規律ある枠組みにする方策として、①域内経済サーベイランスのCMIの枠組みへの統合と強化、②スワップ発動プロセスの明確化と集団的意思決定手続の確立、③規模の大幅な拡大、④スワップ引出しメカニズムの改善を行うことが合意され、以後、こうした合意をそれぞれのBSAに反映していく作業が進められました。

○ 2006年5月の第9回ASEAN+3財務大臣会議(インド・ハイデラバード)では、2004年の第7回ASEAN+3財務大臣会議以来のCMIの強化のための見直し作業が完了し、集団的意思決定手続の導入、地域経済の研究を目的とした経済・市場専門家で構成される専門家グループ(Group of Experts)及び早期警戒システムに関する作業部会の設置による域内経済サーベイランスの能力強化、スワップ規模の拡大が確認されました。

○ 2006年5月の第9回ASEAN+3財務大臣会議では、さらに、地域における流動性支援のための、より発展した枠組み(「CMIのマルチ化」もしくは「ポストCMI」)に向けて、可能な選択肢を検討する観点から、新たな検討部会(タスク・フォース)を設置することに合意しました。同部会での検討を受け、2007年5月の第10回ASEAN+3財務大臣会議(日本・京都)では、CMIのマルチ化について、段階的なアプローチを踏みながら、一本の契約の下で、各国が運用を自ら行う形で外貨準備をプールすることが適当であることに各国間で原則一致しました。

今後は、①域内の短期流動性問題への対応、②既存の国際的枠組みの補完、というCMIの2つの中核的な目的を維持しつつ、マルチ化に係る残る論点の検討を深めていくこととなっています。

○ なお、CMIの枠組みでのBSAのネットワークは、2007年7月10日現在、8カ国の間で10件、830億ドルに達しています(改定に合意した第3次日タイBSA含む)。

簡単に言えば、ASEAN(東南アジア諸国連合)に『日本』『支那』『韓国』の三ヶ国を加えた『ASEAN+3』内で『困った時は外貨を融通し合おうよ』って相互扶助の組織です。将来的にはマルチ化と言って、全てのスワップ協定をCMI主導でやろうと言っていますが、現在は『ASEAN+3の各国が、それぞれ二国間でスワップ協定を結んで出来た二国間条約』の複数集合体がCMIの中身となっています。条約の複数の乗り合い組織、ってことですね。これには『相互監視』の意味もあり、『互いに枠組みを守ることで生まれる、自らの結ぶ契約の保証と担保』を参加国各国が平等に持ち得るという形でもあったりします。特定の参加国だけが条約を反故にしてもCMIにい続けられるのならば、CMI自体の意味も瓦解し、『いつ裏切られてもおかしくないし、相手が条約を守る保証も無い』ということになってしまいますから。

このCMIは元々『97年のアジア通貨危機の反省』から生まれたもの(引用参照)ですが、裏の意味もあったりします。前回の通貨危機の時に、日本は二国間条約で複数の国に援助しました。これを快く思わなかったのが、アメリカ主導のIMF(International Monetary Fund)です。単独の国家による援助ではなく、自分に代表される『多国間金融機構』(『世界銀行(World Bank、WB)』や『アジア開発銀行(Asian Development Bank、ADB)』など)による援助体制一本化で足並みを揃えるべきだと考えていたのです。その結果として、有り体に言えば文句を吐けられたんですね。そこで形作られた、という側面もあったりするんです。

 

今回の拡大は、このCMI枠内における日韓間のスワップ体制の上限拡大です。